出ると、主要航路にぶつかるんだ。つまり、このへんだ。この主要航路に待ってりゃ、かなり大きい汽船が通ると思うよ。三十マイル往復はちょっと骨が折れるけれど、明日はやってみないか」
「ふーん。やってみよう」というわけで、翌日はエンジンを全速にはたらかせて遠出をした。
ぼくもサムも、昨日と今日の見張で、すっかり陽に焼けて、黒くなってしまった。
「ここもだめじゃないか」ぼくがいった。
「いや、気永《きなが》に待たなくちゃだめだよ。世界中の汽船がここに集まってくるわけのものじゃあるまいし、もっとがまんすることだ」
と、サムは大人のような口をきいた。
しかし、彼もやっぱりつまらんと見え、その日|帰航《きこう》の途についたとき、
「まだ、店開《みせびら》きをやっていないんだから、これから小さな船でもなんでも見つけ次第、一度おどかしてみようじゃないか」と、いった。
「うん、それがいい。よし、第一の犠牲船《ぎせいせん》を見つけてやるぞ」
ぼくは見張りについた。
港まで、あと海上三マイルというところで、ぼくは五、六艘のカヌーが帆を張って走っているのを認めた。一日の漁をおえてギネタの港へもどっていく
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