独リトナリタレドモ、『パチノ』マタ病ミ、命数ナキヲ知リ自ラ特製ノ棺ヲ造リテ土中ニ下リテ死ス――それからもう一つの文書《ぶんしょ》は比較的新らしいものですが、これには――『パチノ』ノ墓穴ハ頻々《ヒンピン》タル火災ト時代ノ推移ノタメニ詳《ツマビラ》カナラザルニ至リ、唯《タダ》『ギンザ』トイウ地名ヲ残スノミトハナレリ。マタ『パチノ』ガ『オスミ』と称スル日本婦人ト契リシガ、彼女ハ災害ニテ死シ、両人ノ間ニ生レタル一子(姓不詳)ハ生死不明トナリタリ。ソレト共ニ『パチノ』ノ墓穴ニ関スル重要書類ハ紛失シ、只本国ヘ送リタル二三ノ通信ト『パチノ』ノ墓穴|廓内《カクナイ》ノ建築図トヲ残スノミナリ――というのです。聞いてますか、青竜王《せんせい》」
「イヤ熱心に聴いているよ。それで分った。キャバレーの主人ポントスも、本国からそのパチノの墓穴探しに来ているのだ。その一方《いっぽう》、痣蟹もたまたまこの秘密を嗅《か》ぎだして、本国で墓穴の建築図などを手に入れ、日本へ帰って来たのだ。すべての秘密はそのパチノ墓穴に秘められているのだよ。パチノ墓穴の場所については、いささか存《ぞん》じよりがあるが、しかしパチノの遺族を
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