見つめた。
「昨日、玉川で一緒にゴルフをしたジュリアがそうだったか。……」
 そこで課長はもどかしそうに叫んだ。
「キャバレーの主人オトー・ポントスはいつかの夜のキャバレーの惨劇《さんげき》で、ジュリアの殺人を見たのが、運のつきだったんですネ。ジュリアは夜陰《やいん》に乗《じょう》じてポントスの寝室を襲い、まずナイフで一撃を加え、それからあのレコードで『赤い苺の実』を鳴らしたんです。ポントスはジュリアの独唱《どくしょう》を聞かせられながら、頸部《けいぶ》から彼女に血を吸われたんです。それから秘密の壁に抛《ほう》り込まれたんですが、あの巨人の体にはまだ血液が相当に残っていたため、暫くは生きていた――というのですネ」
 検事は黙々《もくもく》として肯《うなず》いた。
「ではこれから、逮捕に向いたいと思いますが……」と課長はいった。
「よろしい。――が、いま時刻は……」
「もう三分で午後九時です」
「そうか。ではもう三分間待っていてくれ給え、儂《わし》が待っている電話があるのだから」
 大江山課長は、後にも先にも経験しなかったような永い三分間を送った。――ボーン、ボーンと遠くの部屋から、正《
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