たら、妾は吸血鬼とならずに済んだかもしれない。恐ろしい運命だ」
「そうか、パチノが先祖から承《う》けついだ吸血病か、そうして遂《つい》に君にまで伝わったのか、パチノの曾孫《そうそん》にあたる吾《わ》が……」
「お黙り!――」と、悪鬼は足を揚《あ》げて、青竜王の脾腹《ひばら》をドンと蹴った。
「ウーム」
と彼が呻きながら、その場に悶絶《もんぜつ》した。
「ああ、それ以上の悪罵《あくば》に妾が堪えられると思っているのかい。約束の五分間以上|喋《しゃべ》らせるような甘い妾ではないよ。お前さんはよくもこの妾の邪魔をしたネ」と憎々しげに拳をふりあげながら「さあこれから久し振りに、生ぬるい赤い血潮をゴクゴクと、お前さんの頸笛《くびぶえ》から吸わせて貰おうよ」
と云ったかと思うと、悪鬼の女は頭の上から被っていた黒布《こくふ》に手をかけるとサッと脱ぎ捨てた。すると、驚くべし、その下から現れたのは、髪も灰色の老婆かと思いの外《ほか》、意外にも意外、それは金髪を美しく梳《くしけず》った若い洋装の女だった。その顔は――生憎《あいにく》横向きになっているので、見定《みさだ》めがたい!
毒の華《はな》のよ
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