報告するようにしてくれ給《たま》え」
 大江山が帰ると間もなく、覆面探偵から電話がかかって来た。
「雁金さん。いよいよ犯人を決定するときが来ましたよ」
「ほほう。イヤこれは盛《さか》んなことだ」
「まぜかえしてはいけませんよ。それで一つ、お願いがあるのですけれど……」
「犯人を国外に逃がす相談なら、今からお断《ことわ》りだ」
「そうではありません。実は今夜、たしかに吸血鬼と思われる怪人物から会見を申込まれているのです」
「うん、それはお誂《あつら》え向《む》きだ。では新選組《しんせんぐみ》を百名ばかり貸そうかネ」
「いえ、向うでは僕一人が会うという条件で申込んで来ているのです」
「そんな勝手な条件なんか、蹂躙《じゅうりん》したまえ」
「そうはいかないですよ。――で僕は独《ひと》りで会うつもりなんですが、もし今夜九時までに、僕が貴下《あなた》のところへお電話しなかったら、貴下の一番下のひきだしの中に入っている手紙をよんで下さい」
「なんだ、手紙が入っているんだって?」なるほど誰がいつの間に入れたか、白い四角な封筒が入っていた。「あったあった。こんなもの直《す》ぐ明けられるじゃないか」

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