たが、なんの因果《いんが》か、今日は懐しいどころか、わざわざお苦しみのためにゴルフ場を覗《のぞ》きに行かねばならないことを悲しんだ。
車を玉川ゴルフ場に走らせたまではよかったけれど、クラブの玄関をくぐるなり、
「いよオ、大江山君。これはどうした風の吹きまわしだい」
と背中を叩く者があった。ハッと思って後をふりかえってみると、そこには思いがけなくも、雁金検事がゴルフ・パンツを履いてニヤニヤ笑っていた。そればかりではない。検事の後には、彼の馴染《なじみ》の顔がズラリと並んでいたので駭《おどろ》いた。それは蝋山教授、西一郎、赤星ジュリア、矢走千鳥《やばせちどり》という面々で、これでは吸血鬼事件の関係者大会のようなものだった。ただ肝腎《かんじん》の覆面探偵青竜王とキャバレーの主人ポントスとが不足していたが、この二人もどこからか現れてきそうであった。
「丁度《ちょうど》いい。一緒にホールを廻ろうじゃないか」と検事は腕を捉《とら》えた。
「ぜひそう遊ばせな。――」とジュリアたちも薦《すす》めた。
結局大江山課長は、その仲間に入った。背広を着てきたので、恥をかかずに済《す》んだのは何よりだった
前へ
次へ
全141ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング