疑問の金塊
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)尾行者《びこうしゃ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)警視庁|強力犯係《ごうりきはんがかり》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)覘うもの[#「もの」に傍点]を
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尾行者《びこうしゃ》
タバコ屋の前まで来ると、私は色硝子《いろガラス》の輝く小窓から、チェリーを買った。
一本を口に銜《くわ》えて、燐寸《マッチ》の火を近づけながら窓硝子の上に注目すると、向いの洋菓子店の明るい飾窓《ウィンドー》がうつっていた。その飾窓《ショー・ウィンドー》の傍《そば》には、二人連の変な男が、肩と肩とを並べて身動きもせず、こっちをジーッと睨《にら》んでいるのが見えた。
「何処《どこ》までも、尾《つ》けてくる気だナ」
私はムラムラと、背後《うしろ》を振りかえって(莫迦《ばか》!)と叫びたくなるのを、やっと怺《こら》えた。この尾行者のあるのに気がついたのは、横浜《はま》の銀座といわれるあの賑《にぎや》かな伊勢佐木町《いせざきちょう》で夜食《やしょく》を採《と》
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