表に近い松の木の下の素掘りの穴に、出来るだけの物を入れて、土を被せてやろうと思った。
 まずわが部屋の引出しを投げ込んだ。それから皆の寝ていた蒲団を投げ込み始めたが、これがとても重く感じられた。その間にも火の子がうちへ入るので目は放されず、おまけに風下にいるので、七、八軒向こうの火勢がまともに吹きつけ、煙はもうもう、息をするのが苦しくなる。
 ラジオも、アルバムも、本も、辞典も入れた。ミシンを出したが、重くて自由にならず、庭に放り出して逆さにした。足の方が上だ。これは金属製だから、すぐには焼けまいと思う。
 壕はまだ半分ふさがっただけだが、これ以上物を入れるのはやめにした。そう欲ばっても――と思ったのと、いつまでもこんなことばかりしていられないからだ。
 まだ土をかけていないのに気づいてそれを始めた。裏からクワをとって来たが、土にぶっつけても跳ねかえるだけ。やむなくクワの根本を持って土をかく。この方がいくらか楽だ。
 心臓が止まりそうになる。時々休んだ。休んでいると元気も力も回復することが分った。
 一人ではとても駄目であると思い、誰か子供一人をつれて来たいと裏へまわる。裏でも盛んに土
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