、取りかかりのところなどは全く書いている方でも苦痛であるが、いよいよ肝腎の要点である推理のところへ来ると、さすがに面白さが湧き立つ。
こういう本格探偵小説――というよりも推理小説といった方がよろしかろう――が、どの程度に読者を吸収するか、今度はまだ分っていないがあまり期待は出来ない。しかし心から面白がってくれるファンの数が少しでも殖えればいいことである。
面白さに乏しくとも、書くのに骨が折れても、当分はこの推理小説一本槍にて進むこととし、いわゆる情痴犯罪のエログロには手を染めまいと思っている。江戸川、小栗、木々などの諸友の考えもここに在るので、私もその仲間の一人として、そういう方針をぶちこわさない決心だ。
◯近く、時事通信社甲府支局版に、連載科学小説「超人来る」を書くことに決りそうである。これは全体の筋を予《あらかじ》めはっきり決めて置いた。
従来のものは、始めと終りと、その狙い位は決めてかかるが、途中のところは自由に残して置いて、書くときの楽しみにして置いたものだ。そういう考えは一応いいのだが、さて書いて行くと、自然、イージーゴーイングになって、筋の発展性に乏しく、テンポに精彩
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