ょうほうこく》[#七たび生まれ変わって、国に報いるの意]」という言葉を教わって来たので、しきりにそれを口にする。私も「七生報国」と書いて、玄関の上にかかげた。
◯自分一人死ぬのはやさしい。最愛の家族を道づれにし、それを先に片づけてから死ぬというのは容易ならぬ事だ。片づける間に気が変になりそうだ。しかしそれは事にあたれば何でもなく行なわれることであり、杞憂《きゆう》であるかもしれぬ。

 八月十三日
◯朝、英[#夫人]と相談する。私としてはいろいろの場合を説明し、いろいろの手段を話した。その結果、やはり一家死ぬと決定した。
 私は、子供達のことを心配した。ところが英のいうのに、かねてその事は言いきかしてあり、子供たちは一緒に死ぬことにみな得心しているとのことに、私は愕《おどろ》きもし、ほっとした。そして英からかえって「元気を出しなさいよ」と激励された。
 事ここに決まる。大安心をした。
 しかしそうなると、どっと感傷が湧き出るとともに、さらになお、何かの誤りが責任者の私になきやと反省され、完全に朗かにはなりきれなかった。
 この夜も、よく眠れなかった。

[#この日、海野がしたためた遺書
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