海野十三氏の辯
探偵作家お道樂帳・その五
海野十三

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「お道樂」の話ですか、それは困りましたね、私は酒もやらないしこの二三年からだの調子をわるくしてゐるので、たまに三軒茶屋あたりを散歩してくる位のところですから、人樣のやうな派手な「お道樂」はありませんね。
 電氣ですか、あれはいまでは「お道樂」のやうになつてゐますが、これは專攻した學問で、これでも私は理學士なのです。
 佐野昌一の本名で「おはなし電氣學」なんて、素人向の電氣學の入門書を出したり、ご存じのやうに丘丘十郎のペンネームで、科學小説を書いたりしてゐます。
 これは「お道樂」以上の自慢話になるのですが、ごらんなさい、この家は停電されても心配ない上に、いつ泥君が現れても平氣でゐられるやうな裝置が、すつかり出來てゐるでせう。自慢はそればかりではありませんよ、これは「寶石」の讀者にも感謝して頂きたい、
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