で行きどまりとなっていた。辻ヶ谷君は、その奥まで行って、手さぐりで壁の上を探しまわっていたが、そのうちに澄んだベルの音が聞こえだしたと思ったら、壁がぱくりと口を開いた。
 行きどまりの壁が、すうっと下って、下にはまりこみ、目もさめるほどの明るい部屋が目の前にあらわれた。形のふしぎな器械がずらりと並んでいる。
「早くこっちへ入りたまえ」
 辻ヶ谷君にいわれて、僕は下へ落ちた壁――それは隠《かく》し扉であったのだ――をまたいで中へ入った。ぷうんといい匂いがした。ばたんという音がしたので、後をふりかえってみると、隠し扉が元のようにあがって、壁になっていた。


   タイム・マシーン


 ふしぎなこの地下の器械室に足をふみ入れた僕は、おどろきとめずらしさに、ぼんやりとつっ立っていた。
「おい本間君。早くこっちへ来たまえ」
 僕をこの部屋へ連れこんだ辻ヶ谷君は、そういって一台の背の高い円柱形《えんちゅうけい》の器械の前から手まねきした。
 その前へ行ってみると「タイム・マシーン第四号」と真鍮《しんちゅう》の名札が上にうってあり、その名札の下には、計器が五つばかりと、そして白い大きな時計の指針
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