てびっくりさせるようなことは決してない。だからぜひ会いたまえ」
カビ博士はしきりにすすめる。
大団円《だいだんえん》
カビ博士は、僕を僕の二十年後の妻君と会わせたがっている。熱心にいろいろと僕を説《と》きつける。ほんものの僕と、この影の僕とが鉢《はち》あわせをするようなことはないと、博士は保証する。
しかも博士は遂《つい》に妙なことをいいだした。これには「深い事情がある」と。僕は気になってしょうがない。そこで博士に向い、その「深い事情」とは何かとたずねた。
「ま、そのことは後でゆっくりと君自身が考えたがいい。わしは説明しているひまがない。それよりは早く、君の妻君に会ってくれ。――ほら、タクマ少年がやって来たぜ。あまりおそいから、さいそくに来たんだろう」
なるほど、タクマ少年がいつものように顔を赤くして、こっちへ笑いかけた。
「お客さん。さっきから奥様がお待ちかねですが。お隣の部屋まで来ていらっしゃいます。その扉の向こうです」
少年の指《さ》す方を、僕はおそるおそる見た。
「タクマちゃん。まだなの」
美しい女の声が、扉の向こうで、そういった。僕ははっとした。心臓
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