トロ族の委員長らしい魚人は、はっきりと要旨《ようし》をのべた。他の魚人たちは、頭を僕の方へつきだして、今にもとびつきそうな恰好である。
「君の申し出は分った。われわれは侵入を正しいとするものではない。われわれは君たちがこんなところに住んでいることを全然知らなかったのだ。やむを得ず地上の生活を放棄して、この海中海底に下って来たのであるが、まさかこんなところに君たちが住んでいるとは思わないものだから、どんどん工事をすすめて海底都市を建設したのである。これだけいえば、われわれに不正な侵入の意図のないことを知ってもらえるだろう」
 僕は、秘密のうちに、後方のカビ博士からの指示をうけながら、雄弁《ゆうべん》に述べたてた。
「われわれが住んでいるとは知らなかったというが、それは本当だとは思われない。われわれのことについては、地上にもその文献が残っているはずだし、またわれわれの一部は地上にも残留《ざんりゅう》していて、われわれの移動についても物語ったはずだ」
「そんなことは知られていない。地上ではたびたび人類を始め生物が死に絶《た》えたことがある。少なくも三回の氷河期や、回数のわからないほどの大洪
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