つの窓のようなものを指した。それには、さっき僕たちが入っていった博士の艇庫の内部がうつっていた。
 が、間もなく映像は動きだした。それは艇が航行をはじめたからだ。いつの間にか、艇は水の中につかって進んでいた。運河の中をもぐって進んでいるようだ。数條《すうじょう》の、きちんとした間隔《かんかく》で直線的に並んでいる標識燈《ひょうしきとう》が、映画幕にうつくしく輝いている。
 やがてその標識燈の行列が消えた。
「海中へ出た」
 博士がいった。なるほど、そうらしい。海底都市の構築物をはなれて、深海へ。異様な形をした魚群が、こっちへどんどん近づいて来たと思ったら、ぱっと花を散らしたように上下左右へとんだ。
 海中には、うす青い光がみちていた。また海底の丘などは白っぽく輝いていた。緑や茶色の海藻はすきとおって見え、魚群が近づくと嵐にあったような恰好《かっこう》で、おどりまくった。
 僕は、ふと博士のことが気にかかって、幕面より目を放すと、横にむいて隣席《りんせき》の博士の様子をうかがった。
 カビ博士は、一心ふらんに、計器を見ながら操縦をしている。
 僕は髭もじゃの博士の横顔をしばらく見ていた。
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