実験動物と呼び、そしてその僕をもっと金魚《きんぎょ》や鮭《さけ》のまねをさせようといっているのである。溺死はもうたくさんだ。この上第二回、第三回の溺死をくりかえされていると、そのうちに僕は弱ってしまって、いくら注射をうっても生きかえらなくなることだろう。僕は大いに抗議をしたいと思ったが、残念なことに口も身体もきかない。
「あたし、考えたんですけれどね」
 とダリア嬢が元気一ぱいの声でいう。
「この次の実験には、この実験動物が水槽で楽に呼吸が出来るように呼吸兜《こきゅうかぶと》を頭にかぶせようと思うんですの。つまり、適当に酸素を補給させ、過剰の炭酸|瓦斯《ガス》が排出《はいしゅつ》されるようになっていればいいんですから、そのような呼吸兜を作るのはわけありませんわ」
「それはいいでしょう。しかし身体の釣合いを破らないように考えないといけませんね」
「そうですね。身体の他の部分にも別の錘《おもり》をつけましょう。あたしはもっといろいろと考えていますのよ、発展的な実験をね」
「発展的な実験というと、どんなことをしますか」
「すこし大胆《だいたん》かもしれませんけれど、この実験動物をやがて深海へ
前へ 次へ
全184ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング