も出ない。次の「ダンス・オー・ヤヤ」にも出ない。そして次の「ダンス・カンツリー」に移った。
これにも彼女は出なかったが、大いに注意すべき事がある。それは例の残った六人の中の三人、すなわち辰巳鈴子、三条健子、歌島定子が出演していることがプログラムの上から読まれた。これは何を意味するかというと、彼女はその三つの名前の中には無いということ――果然《かぜん》、敵の副司令の名前は、残りの三つの名前の中にあるという結論になった。ああ、その三つの名前!
[#ここから1字下げ]
海原真帆子《かいばらまほこ》 柳《やなぎ》 ちどり 紅《くれない》 黄世子《きよこ》
[#ここで字下げ終わり]
利鎌《とがま》を振りまわしている死の神はわれ等の同志百七十一人の許《もと》を離れて、いまや刻々《こくこく》敵の副司令へ迫《せま》りつつあるのだ。
さて残る三人は、どこでそれぞれ判るであろうか。
QX30[#「30」は縦中横]は、とどろく心臓を押えてプログラムの先の方を調べて見た。
判る、判る!
次の演出は、初めに返って、第一ナンセンス・レビュー「弥次喜多《やじきた》」二幕十二場だ。辿《たど》ってゆくと
前へ
次へ
全28ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング