吸《いき》をひきとった。
杜はミチミの亡骸《なきがら》をただひとりで清めた、それから白いかたびらを着せてみたが、いかにも寒々として可哀想であったので箪笥の引出を開いて、生前ミチミが好んでいた燃えるような緋《ひ》ぢりめんの長襦袢に着かえさせた。そして静かにミチミの亡骸を、寝棺《ねかん》のなかに入れてやったのであった。
ミチミの蝋細工のような白い面《かお》を見ていると、杜は不図《ふと》思いついて、彼女の鏡台を棺の脇に搬《はこ》んできた。そして一世一代の腕をふるって、ミチミの死顔にお化粧をしてやった。
白蝋の面《かお》の上に、香りの高い白粉《おしろい》がのべられ、その上に淡紅色《ときいろ》の粉白粉を、彼女の両頬に円《つぶ》らな瞼《まぶた》の上に、しずかに摺《す》りこんだ。そして最後に、ミチミの愛用していたルージュをなめて、彼女のつつましやかな上下の唇に濃く塗りこんだ。
ミチミはいきいきと生きかえったように見えた。真赤な長襦袢と、死化粧うるわしい顔《かんばせ》とが互に照り映えて、それは寝棺のなかに横たわるとはいえ、まるで人形の花嫁のようであった。ミチミは寝棺のなかに入って、これから旅立
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