理的な落としものであることが証明される筈であった。ともあれ、そういう条件下の出来事だとすると、これはうまくゆけば、やがてミチミが法廷に裁かれても、死一等を減ぜられることになろうと思った。それはこの際のせめてもの悦《よろこ》びであった。
 しかし人間の世界を高き雲の上の国から見給う神の思召《おぼしめし》はどうあったのであろうか。神はミチミが法廷に送られる前に、天国へ召したもうた。
 実はあれだけ立派な証拠を残して来た犯罪事件ではあったが、震災直後の手配不備のせいであったか、それから一月経っても、二月経っても、司直はミチミたちを安穏《あんおん》に放置しておいた。しかし初冬が訪れると間もなくミチミは仮初《かりそめ》の風邪から急性の肺炎に侵されるところとなり、それは一度快方に赴いて暫く杜を悦ばせた。けれども年が明けるとともにまた容態が悪化し、遂に陽春四月に入ると全く危篤の状態に陥った。ミチミが他界したのは四月十三日のことであった。
 折から桜花は故郷の山に野に爛漫《らんまん》と咲き乱れていた。どこからか懶《ものう》い梵鐘《ぼんしょう》の音が流れてくる花の夕暮、ミチミは杜に手を取られて、静かに呼
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