っかりした調子で、それを命じた。
 杜はミチミに手伝わせて、そのようにした。
「さあそれでいいわ。――ではバラックの中にあるあたし[#「あたし」に傍点]の必要なものを片づけましょう。一緒に行って、片づけてくれない」
「ウン、行ってもいいかしら」
「もう大丈夫よ。有坂は、もうなんにも邪魔をしないわよ」
 杜はミチミの言葉を深く考えもせず、彼女について、恐る恐るバラックの入口をくぐった。バラックの中には、暗い電灯が一つ天井から下っていた。彼は極めて自然に、自分がピンと引張った綱の先を眼でもって追っていった。その綱は上向きになって、梁《はり》の方に伸びていた。その梁の向うに、彼は全然予期しなかったものを見た。それは紛れもなく、宙にぶら下った男の全身だった。杜はそれが何者であるか、そして何をしているのかを知った瞬間に、愕きのあまりヘタヘタと土間に膝をついた。
「ウム、これは有坂青年だ。これはどういうわけだッ。――」
 ミチミは、ジャンヌ・ダルクのように颯爽《さっそう》として、杜の前に突立った。そして氷のように冷徹な声でいった。
「これがあたしの自由を奪っていたものよ。この有坂さんは、この前は今
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