も、別な手段でラジウムを取出す方法を研究に来たわけで、あのトランクには関係がないです。これはよく分ってもらわにゃ大迷惑《おおめいわく》だ。……臼井はどこへ行ったか知らん。船に乗っていたが、その後脱走したそうで、わしは知らん」
 この陳述によって、あらまし筋は分って来たようである。
 つまるところ、目賀野は本事件の主役ではなく、その傍系《ぼうけい》のドンキホーテ染《じ》みたところのある人物に過ぎないのだ。
「例のラジウム二百瓦が三原山の噴火口に投げこんであることは、いつ誰から訊《き》いたか」
 課長は、最も重大なるところを突込《つっこ》んだ。
「そのことかね。それはあの臼井が、いつだったか、密書《みっしょ》を拾ったんだ。その密書に簡単ながら、そういう意味のことが書いてあった。その密書は臼井が持っている。わしではない」
「その密書の差出人《さしだしにん》は誰か。また受取人は誰なのか」
「名前ははっきり書いてなかった。ただ、差出人の名前に相当するところには、矢を二つぶっちがえた印が捺《お》してあった」
「矢を二本ぶっちがえた印が、ふうん。そして受取人の方には……」
「受取人の名前に相当する場
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