の隊員はそんなところを見る勇気はなかったので、だまっているものが多かった。
 ところが、骸骨係自身も、はじめはたいへんこわくて、もうよそうかと思ったと告白《こくはく》したので、みんなは笑った。しいんとしたあのさびしい骸骨館の中に、五人仲間がいるとはいえ、永い夜を送るのは気持のいいものではなかった。骸骨もすぐそばにいるし、鬼火もすぐそばで燃える。かりかりかりとシロホンが鳴れば、ほんとうに骸骨が鳴ったような気がする。そこへ向こうの草むらから、かんかーンと鉦《かね》の音がひびき、ううッと呻《うな》られると、すっかり身の毛がよだって、骸骨の方が「たすけてくれ」と悲鳴《ひめい》をあげたくなるというのだった。
 台風《たいふう》が来たので、骸骨館探検は四日ほど中休みをした。
 五日目は、夕方すぎに風もおさまり、雨もあがったので、時間は少しおそくなったが、久しぶりで骸骨館探検をすることになった。骸骨係の清君、一郎君、ブウちゃん、良ちゃん、鉄ちゃんの五人は、道具などをかかえていそいそと薄《うす》ぐらい骸骨館の中へ入っていった。
 五人は舞台の上へあがって、したくにかかった。
「おや、ここに乾《かん》パンの食いかけが散らばっているよ」
 ブウちゃんが妙な発見をした。
「乾パン。あ、ほんとうだ。誰が持って来たの」
「ぼくたちじゃないよ。誰かほかのものだよ。でも、へんだね。誰かこんなところへ来たんだろうか」
 なんだか気味のわるいことだった。
 だがそのことは、骸骨館探検がはじまったので、そのまま忘れられた。
 二番目の探検隊員としてトシ子ちゃんが入って来て、鉦《かね》を鳴らしたときのことだったが、思いがけないことが館内でおこった。それはトシ子ちゃんと鬼火がおどる舞台とのちょうど中間《ちゅうかん》の草むらの中から、とつぜんぱっと明かるい光がさして天井を照らした。思いがけない光だった。そんな光を用意したおぼえはない。鬼火二つは舞台でおどっている。
「きゃっ」
 とトシ子ちゃんが叫んで、その場に腰をぬかした。舞台の骸骨である清君と一郎君も、もうすこしで悲鳴をあげるところだった。すると中間の草むらのあやしい火がゆれ、草むらの中から何者とも知れず人間の形がすうっと浮かびあがった。
「きゃっ。お助け……」
 叫んだのは、そのあやしい人影だった。とたんにあやしい光が草むらに落ち、うごかなくなった。そ
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