「何をしているのですか」
彼は、二人の傍へいって、声を懸けた。
「ああッ」
二つの顔が、一せいに彼の方へ向いて、そして歪《ゆが》んだ。アンと、もう一人は、ボジャック氏だった。
「お待ち、ボジャック!」
アンが、ボジャックに飛びかかって、腕をおさえた。ボジャックの手には、ピストルが握られていた。そして、喰いつきそうな顔で仏を睨《にら》みつけている。
仏《フォー》は、刹那《せつな》に、一切《いっさい》を悟った。
(そうだったか。二人とも、ドイツ側のスパイだったんだな)
そう感じたが、なぜか、彼は、それほど愕《おどろ》かなかった。
「あなた。さっきのお約束をお破りになる?」
アンが、ボジャックの腕を必死になって、抑《おさ》えながらいった。
「……約束は、守るよ。だが、説明をしてもらいたいものだ」
「なにを……こいつを、やっつけたが、早道だ」
「お待ち。命令だ、撃ってはならない。それよりも、早く赤外線標識灯《せきがいせんひょうしきとう》を、沖合《おきあい》へ!」
アンは、上官のような厳《おごそ》かな態度で叫んだ。
「私は、皆さんの邪魔《じゃま》をしまい。私は、傍観者《ぼうかんしゃ
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