発を応用した穴ほり道具を、なるべく使わないようにしながら進んだ。こうして進むうちにも、不安定な状態にある坑道は、いつ新しい落磐をおこすかもしれないので、そのときは強力な穴掘り道具を使う方針であった。
およそ四時間もかかって、ようよう三人は第八十八鉱区の入口にたどりついた。
たいへんうれしかった。
しかしこれから先が問題である。働きなれたなつかしい鉱区の中は、いったいどんなになっているのであろうか。
三人は、そこで持ってきた握飯《にぎりめし》をたべ、水筒から水をのんで元気をつけた。
それからいよいよ中へ入っていったのである。
ところが坑内は、意外にもきちんとしていた。もっともここはそうとう深いところでもあるし、地質もしっかりしているので、きちんとしていることがむしろあたりまえだった。だが地上のあのすごい光景にびっくりさせられた三人は、第八十八鉱区のこの無事なありさまが意外に感ぜられた。
が、三人が、この鉱区の中央をつらぬく竪坑《たてこう》のところへ、横合から出たときには、思わずあっとさけんだ。
いつもこの竪坑は暗かった。今は電灯もついておらず、さぞまっくらであろうと思って
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