ようすを見ることにしたが、三人は前にのべたように、地嶽谷のようなものすごい破壊の光景にぶつかって、たいへんおどろいた。しばらくはぼんやりとそこにたたずんで、口がきけなかったほどであった。
 が、金田はもう老人といわれる年齢になった老鉱員であるが、十四歳の時からずっとこの山で働いていたしっかり者だけに、二人の少年をはげまして、ついに地中へもぐりこんだのである。
 頭には、上から落ちてくる岩をふせぐための弾力のある帽子をしっかりかぶり、手にはするどい鉤《かぎ》のついた小さい手斧《ておの》と、強い燭光《しょっこう》の手提灯《てさげとう》をもち、腰には長い綱をさげていた。そのほかに、携帯用の強力な穴ほり道具を、三人が分解して肩にかついでいた。
 せっかくはいりこんだ坑道が、盲管のように行きどまりになっていたので、三人はいくども、もとへもどらなければならなかった。
 でも、そんなことをくりかえしているうちに、ようやくわりあい崩れ落ちているところのすくない坑道にもぐりこむことができて、三人はすこし明かるい心になった。
 それでもやっぱり、落磐《らくばん》の個所がつぎつぎに出てきた。三人は、酸水素爆
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