ちばん年が若いのであった。いや、他の六人がいずれも五十歳以上であるのに、児玉だけはまだ二十九歳であった。
「帆村君。何か新しい発見はなかったかね」
と、今日も児玉は、帆村をたずねて来た。
「おう、児玉君。さあこっちへはいりたまえ」と、帆村はすっかり親しみのある言葉づかいで、彼に一つの椅子をすすめた。
「例の緑色がかったねじの頭みたいなものね、君も見て知っているね」
「ああ、知っているよ。室戸博士に見せたあれだろう」
「そうだ、あれだ。あれを東京の大学で、僕の友人が分析したのだ。その報告が今日手紙で来たよ」
「報告が来たか。それは面白いなあ。で、どうだった」
児玉法学士の目が輝く。帆村は、机の上から一つの封筒をとりあげ、その中から報告用紙を抜き出して開いた。
「まあ、これを読んでみたまえ」
帆村は、にんまりと笑いながら、それを児玉に手渡した。児玉はそれを受取ると、大きくごくりと咽喉《のど》をならして、紙の上に書かれてある文字に目を走らせた。と、彼の顔が急に硬くなった。
「どうだ。わかるかね、児玉君」
帆村は煙草《たばこ》を握った指先で、自分の頤《あご》をかるくはじいている。
「ふ
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