うん……」児玉は大きな嘆声を一つついた。それからこんどは両肩をゆすぶった。
「た、大変な報告じゃないか。あの緑色がかったねじの頭のようなものは、一種の金属材料でできているが、あのような金属は、これまで世界のどこでも発見されなかったものである。――ということが書いてあるね」
「そうなんだ。つまり、今日わが地球上において知られている元素は九十二種あるが、あの緑色がかったねじの頭のようなものは、その九十二種以外の数種の元素を含んでいるという証明なんだ。それが如何《いか》なる物質であるかは、今後の研究に待たなければならないが、とにかくこういうことだけはわかったと思う。すなわち、あれは地球以外の場所から運ばれて来たものらしいということだ」
「そうなるわけだね」児玉法学士はうなずいた。
「だから、あれは例の怪物の落していったものだということもわかるし、それからまた同時に、あの怪物が、地球の外から来た者だということもいえるのだ。そうじゃないか」
帆村はいつになく、はっきりと断定した。
「そうだ、そうだ。たしかにそうなる」
児玉はもうこれ以上椅子の上に落着いて坐っていられないという様子で、椅子から
前へ
次へ
全162ページ中54ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング