い間の経験を持った、老弁護士の集団から選び出された人たちで、当局からも十分信頼されて居り、係官と同じ検察権が特に与えられていた。
 この七人組は、「奇妙な死骸」事件の話を聞くと、特に志願して、この事件の解決にあたることになったのである。当局としては、戦時下非常にいそがしい折柄でもあるので、七人組の申し出をたいへん喜び、それに事件をまかせることにしたのである。
 この特別刑事調査隊長を室戸博士《むろとはくし》といい、残りの六人も全部博士であった。殊《こと》に甲斐《かい》博士という人は、法学博士と医学博士との、二つの肩書を持っている人で、法医学には特にくわしい知識をもち、一行の中で一番年齢が若かった。それでも氏は、五十五歳であった。
 このようにすぐれた博士組が、この鉱山へ来てくれたので、事務所はもちろん、東京本社でも大喜びだったし、この怪事件にふるえあがっていた土地の人々も、大安心をしたのであった。
 調査隊の取調べが始った。さすがにその道の老練家たちだけあって、やることがきびきびしていた。
 坑道のあらゆる底が調べあげられた。そして石膏《せっこう》で模型が作りあげられた。その結果、この
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