刀をさしこんで引きまわすように、濃緑褐色の「魔の空間」の壁が、煙のあがっているところで、すうすう引きさかれ、そして引きさかれたあとの黒い条《すじ》は、ずんずんのびてゆくのであった。
「ああ、見える。すごい斬味《きれあじ》だ、サイクロ銃は……」
兵曹長が感激して言った。と、帆村の射撃はますます威力を発揮し、やがて「魔の空間」の側面の壁は、大きく丸く切りとられ、切りとられた部分だけが、土煙をあげて前に倒れた。そして大穴があいてしまった。
「あっ、中が見える。中にうごめいているのは、ありゃ緑鬼どもだな」
「そうだ。ミミ族だ。さっきから音響砲の砲撃をくらって、かなり弱っている。さあ、そこをつけこんで、あ奴《いつ》らを、みな生擒《いけどり》にしてもらおう」
「はい、了解。……全員、突撃に……」
兵曹長は、自らも音響砲をとりなおすと隊員をひきい、まっ先に立って、「魔の空間」の破れ穴めがけて突入した。
それから「魔の空間」の中で、戦闘がはじまった。しかし帆村の言ったように、ミミ族の緑鬼どもは元気がなく、すこぶる簡単に、竜造寺隊のために片づけられてしまった。緑鬼たちは、いつもと違い、自分たちの姿
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