たわけか、五十米手前で、銃を持ったまま、ばったり倒れてしまった。

   ミミ族の正体

「所長。どうした」
 と、竜造寺兵曹長は、倒れている帆村のそばへかけよって、後からだき起そうとした。
「た、大したことはない。ミミ族は、墜落した『魔の空間』の内部から、神経破壊線を射かけてくるぞ。頭がくらくらとしたら、なにも考えてはいけない。考えると、脳神経が焼き切れるのだ。ぼんやりしていれば、間もなくなおる」
「ふうん。神経破壊線といえば、この前、私が『魔の空間』で射かけられて、半病人となったあれだな」
「そうだ。しかしまだ恐るべきほどの力は持っていないから、大したことはない。さあ、この間にサイクロ銃で、『魔の空間』の壁を焼き切るのだ。兵曹長、見ていなさい、サイクロ銃のすごい透過力を……」
 こう言った帆村は、銃を肩につけ、引金をひいた。しゅうんというかすかな音が聞えはじめたと思うと、目の前に小山のように横たわっていた「魔の空間」の一点から、煙のようなものが濛々《もうもう》とあがりだした。
「見ているか、兵曹長。『魔の空間』の壁がさけてゆく……」
 なるほど、そのとおりだ。鯨の腹に、磨きすました
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