りの距離であった。
竜造寺隊長の指揮もあざやかに、全員は現場に車を乗り入れると、まだ地上まで墜ちきらない「魔の空間」を中心に、まわりをぐるっと取りまいて、陣地をつくった。
附近の村の人々は、大さわぎをしている。
「なんだね、あれは……。でっけえ風船みたいじゃが、あんなでけえやつは見たことがねえだ」
「いやな色しとるな。殿様蛙の背中みたいじゃ。やれまあ、気持のわるい」
「これこれ、早く待避せんかちゅうのに。あれが地面にあたって大爆発すると、村の家が皆ふっ飛んでしまうちゅうぞや」
「えっ、それはたいへんじゃ……」
村人たちは、こわさはこわし、気になるので見てはいたしで、待避壕をはいったりでたりの、混雑をくりかえしている。
目に見える「魔の空間」だ。それははじめてのことだった。濃緑色と暗褐色のだんだらに塗られた、西瓜《すいか》のお化けのような「魔の空間」だった。
「帆村所長。あの『魔の空間』は、なぜよく見えるのですか」
と、山岸少年が帆村の腕をひっぱった。
「ああ、そのことか。そのわけは、『魔の空間』の機関が、音響砲にやっつけられて、故障になったのだ。そうなると、『魔の空間』のはげ
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