下りてくる「魔の空間」を突きさした。
「所長。怪力線は『魔の空間』に命中」
 と、兵曹長は叫ぶ。
 帆村はもちろん、電子ストロボ鏡でそれを見まもっていた。
「怪力線、射撃をつづけよ」
 と、帆村は命令して、「魔の空間」にどんな変化がおこるかと、目を皿のようにして見つめていた。が、三十秒、一分、一分三十秒とたっても、「魔の空間」は、なんの変化も示さず、あいかわらずゆっくりと下降をつづけているではないか。
(だめだ。怪力線砲は効果なしだ)
 帆村はそう思った。
「隊長、音響砲で砲撃を……」
 そういって、帆村は竜造寺兵曹長に命令した。
「音響砲、撃ち方はじめ」
 砲撃はすぐはじまったが、光も見えなければ、音もしない。音響はだすが、超音波のことだから、人間の耳には音と感じないのだ。だが、音響砲は頼もしくも、手ごたえがあった。
「あっ、『魔の空間』が落下の速度を早めたぞ。機関が故障になったのだ。ああ、墜《お》ちる墜ちる。あそこへ急げ」
 帆村は、狙った「魔の空間」が、音響砲の砲撃のため、故障になって墜落するのを見定めると、全員を急がせて、その落下の場所へ移動を命じた。あと僅か一|粁《キロ》ばか
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