、うしろへ跳《は》ねかえされるだけで、大失敗に終ろう。
 また穴が明くとしても、たぶんその穴はすぐふさがれてしまうだろうから、穴からとび出すのは、爆発の起ったすぐあとでないと、うまくいかないであろう。これを決行するとなると、たいへん危険なことであって、もしも爆弾の一部が残っていたとすると、艇が穴のところを通りぬけようとした瞬間、その残りの爆弾の炸裂《さくれつ》にあって、艇はこなみじんとなってしまわなければならぬ。
 さあ、どうするか……。
 山岸中尉は、口をかたく結んで、しばらく考えこんでいたが、やがてきっとなって頭をあげると、
「よし、それを決行するぞ」
 と、だんぜん言いきった。
 帆村荘六の考えだした方法が、ついに採用されることになったのである。
「だが、その前にしなければならぬことが二つある。一つは望月大尉と連絡して、その許可をうけることだ。もう一つは、いかなる方法を講じても、竜造寺兵曹長を救いだし、彼を連れてかえることだ」
 山岸中尉は、どこまでも模範的な士官であった。上官の許可をうけることと、不幸な部下をぜひとも救いだして連れていくこと、この二つをやった上で、今の脱出にとり
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