ら見ると君が若いというか、君がまだ多くを知らないというか、それから発したことだ」
「マカオ博士、――」
「こら待たんか。その大きな拳で、わしの頤をつきあげようというのだろう。そしてわしの頸をぎゅーっと締めつけようというのだろう。それくらいのことはわかっているぞ。だが待て、ちょっと待ってくれ。わしが君に殴り殺される前に、ぜひ君に見せてやりたいものがある」
博士は、まだ頸をしめつけられてもいないのに、くるしそうにあえぎあえぎ言う。
「僕に見せるって、いったいそれは何を見せるというのですか」
僕はさすがに気になった。絵里子に関係のあることではないかと、すぐそのように思ったのであった。
博士は僕を制して、自分のあとについてくるようにと合図をおくった。
博士の後に従って、僕は小暗い長廊下をずんずん奥へあるいていった。
そのうちに博士は、廊下の途中から横についている急な階段をのぼりはじめた。
(おお、これは、マカオ博士の秘密研究塔に通じる階段だ)
と、僕はひそかに胸をおどらせた。
博士は僕を秘密研究塔につれこんで、いったいなにを見せるつもりなんだろう。
この研究塔は、往来からもよく
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