ははずかしいといっているのであろう。
僕は博士に、宇宙女囚をもっとそばぢかくでみたいといったところ、博士はそれを承諾し、ついに小さい扉をひらき、宇宙女囚ののたうちまわるそばに、僕をつれていった。
反射鏡から見たときとはちがって、そばぢかくでみた宇宙女囚の肢体といい容貌といいあまりながく見ていると脳髄がきゅーっと縮まり発狂するのではないかといったような恐怖にさえ襲われるのであった。
そのとき僕は、ゆくりもなく、女囚の白い膚の上に、例の空電斑点をはっきりとみとめたのであった。この女体が一連の電気と化して空間をはしりゆくとき、宇宙の雲助ともいうべき空電に禍いされても不思議ではない。そして生れもつかぬ黒い斑点を身体中に印せられた結果、もとの立体にかえっても、この斑点はなにか意識の恢復を邪魔するようにはたらいているのではなかろうか。
僕がそのことを博士に話すと、博士は手をうってよろこんだ。
「そうだ。君の考えは実にすばらしい。わしはそこまで考えつかなかったよ。うむ、分るぞ分るぞ。たとえば、脳髄の中にその黒い異物である斑点が交っていれば、脳髄の働きを害するにちがいない。――うむ、それはすば
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