号は空中分解でもしたんじゃないかと、しんぱいしていたわけです。だから超短波の無電でちょっとよびだしをかけたんです」
「こっちからのテレビジョンがとまっていますって。それは知らなかった。そんなはずはないんですがね。念のためにちょっとしらべますから、待っていてください」
千ちゃんはふしぎに思って、テレビジョンの空中線回路へ監視燈《かんしとう》をつっこんでみると、燈《あかり》がつかない。なるほど電流が通っていない。やっぱりそうだったんだ。故障の箇所《かしょ》はどこだろうかと、千ちゃんは座席から立ちあがってはしごで下へおり、テレビジョン装置をしらべてみた。しかしアイコノスコープも発振器《はっしんき》もどこもわるくなさそうである。しかしテレビジョン電流はさっぱり出ないのだ。
いよいよこれはへんである。千ちゃんはふたたびはしごをのぼって操縦席へもどってきた。このうえは、いい気持のポコちゃんをねむりからさまして、二人して故障箇所を早くさがそうと考え、となりの席で、ていねいに、おじぎをしたようなかっこうでいねむっているポコちゃんの肩へ手をかけようとしたとき、故障の原因がたちまちはっきりわかってしま
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