そして暴行をはじめた」
「どうもわからないなあ。なぜ千ちゃんがそんなことをしたのか」
ひょっとすると、千ちゃんは気が変になったのではあるまいか。川上はそう思って身ぶるいした。
「君たちの乗ってきた乗物の残骸《ざんがい》は、こっちの方角にあります。あの道を行って丘を二つほど越したところです。だいたいいまわれわれが立っているむこうがわ[#「むこうがわ」に傍点]になります」
教授の指さしたのは左であった。噴気孔《ふんきこう》が立っているところと九十度ほどちがう。
「カモシカ号の残骸は、どんなになっていますか。すこしは形がのこっていますか」
「全体は、平《ひら》ったく地にはりついています。そしてところどころこぶ[#「こぶ」に傍点]のようにもりあがっていますね。みんなまっ黒こげですよ」
なさけないことを聞くものだと、ポコちゃんは思わずためいきをつく。
「ふうん」
「お気のどくですね」
「カロチ教授。ぼくをそこへ案内してくださいませんか。カモシカ号の残骸をとむらいたいと思いますから」
「よろしい。すぐ行ってみましょう」
「でも遠いのでしょう。どのくらい時間がかかるんですか」
「そうですね。君
前へ
次へ
全91ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング