このへんへ落ちてくるぞ」
 まるで花火がうちだした紙製の人形のように、その人かげは風にのったまま、地面に対してななめにすうっと着陸した。と思ったら、とたんにごろごろと転《ころ》がりはじめて、約二十メートルを転がって、ちょうどポコちゃんの前まで来た。
 ポコちゃんはあわてて相手をつかまえてやった。
「どこか、けがをしなかったかね」
 と、相手に声をかけながらよく見ると、なんのこと、それはジャンガラ星人のカロチ教授であったではないか。
「川上君。くしゃみをするときは、こっちを向いてやらないで下さい。わしはもう呼吸がとまるかと思った。すごいくしゃみを君はするんだね」
 カロチ教授は、三本の手でしっかりとポコちゃんの腕をつかみながら、うらめしそうにいった。
 聞いているポコちゃんは、顔があつくなった。
「あなたを、くしゃみでふきとばすつもりはなかったんです。悪く思わないで下さい。あなたのからだは軽いんですね」
「君のくしゃみのいきおいがはげしすぎるのだよ。あっという間に、からだがくるくるとまわって、地上から千メートルも高い空までふきとばされちまったからねえ。ほんとにもうこれからは気をつけてくれ
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