万分の一しかない豆粒星《まめつぶぼし》であったのだ。
 そしてついでに書きそえておくが、このジャンガラ星はビー玉のように球形ではなく、乾燥したグリーン・ピースの、おされてすこしいびつ[#「いびつ」に傍点]になっているそれによく似ていた。そのことがジャンガラ星の宇宙運航の軌道《きどう》を、いっそう、きみょうなものにしているのだった。
 そのことについて、もっとくわしく説明すると――いや、説明は中止だ。なぜといって、今空から一人の人間が、浮力《ふりょく》を失ったゴム風船みたいに、ふわりふわりと下りて来るではないか。しかもそれはポコちゃんがえんこしているすぐ前に下りてきそうなのだ。
 どうしたんだろう。あまくだる怪しい人かげは、いったい何者であろうか。


   あまくだる人かげ


 あまくだる人かげの、みょうな姿よ。
 ポコちゃんは、それに気がついて、ぽかんと口をあいてあまくだる人かげを見まもっている。
「空から人間が降ってくるとは、へんだぞ。翼《つばさ》も生えていないようだし、落下傘《らっかさん》を持っているわけではないし、なぜあんなにふわふわと、ゆっくり下りて来られるのかなあ。おや、
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