」
ポコちゃんは、とつぜんそういう結論をこしらえあげた。そしてかれは寝床をけってはねおきた。
「あれっ」
きみょうなことが起った。それは思いがけないことだった。かれはそんなことをしたつもりではないのに、かれのからだは、すっと上にあがり、足が寝床からはなれて三メートルばかり上へあがった。
それから、からだは、しずかに下りてきて、ふわりと寝床に足がついた。自分のからだが、目にははっきり見えながら、からだの中は空気ばかりになったような、きみょうな身がるさをおぼえた。
「へんだね、これは……」
ポコちゃんは、小さい目をぱちぱちさせて、からだのまわりを見まわした。べつに風船がからだについているわけでもない。だれか、自分をそっと引っぱりあげ、そしてふわりとしずかにおろしたわけでもない。
「あっ、この寝床の中に、すてきなスプリングが入っているせいかな」
ポコちゃんは寝床から下りた。そして手で寝床のスプリングをおしてみた。しかしスプリングらしいものは、指先にさわらなかった。
「このへやが、どうもおかしい」
いやに天井《てんじょう》の高い、まっ白なへやである。出入りの扉が一つあるほかには、画
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