だという。
 いくら太陽がえらくても、ちり[#「ちり」に傍点]や水蒸気がなければ、空がまひるの明るさにかがやかないのだ。そうしてみると、ちり[#「ちり」に傍点]とか水蒸気は、大した魔術師だわい――とポコちゃんは感心してしまった。
「だけれど、なんというあわれなお日さまだろう」
 と、ポコちゃんは、窓の外に仰ぐ太陽にたいへん同情をした。
 もうひとつのかわった風景は、どんどん後へはなれていくわが地球が、とうとうすっかり球《たま》の形に見えるようになったことである。
 その地球の大きさを、どういいあらわしたらいいだろうか。大きな丸いテントを張って、それをすぐそばに建っているとう[#「とう」に傍点]の窓から身をのりだして見たようだとでもいうか、家の二階までがすっぽりはいる大きな雪の玉をこしらえて、そのそばにしゃがんで見上げたようだというか、とにかく大きな球の形に見え、それが太陽の光をうけて明かるくかがやいて見えるのだった。
 海と陸との区別がつくことはつくが、それはあまりはっきりしない。陸の色は黄色っぽい緑であるし、海はうす青であった。しかしよく見ているとあそこが太平洋だな、こっちがアジアで
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