どうぶつ》が、海中にすんで魚のような形になってしまったでしょう。それと似ているが、われわれの先祖の動く海藻はだんだんと魚のような形となり、それから陸上へあがるようになってから、こんどは動物の形に似てきたんです。もちろんそれまでには約四千万年の長い年月がかかった。おわかりかな。だからわれわれは、生活の上におけるいろいろな点において、今も植物に助けられている。ところがごらんの通り、ジャンガラ星の上には植物がとぼしくて、まことに心細くてならぬ。さあ、そこでわれわれはいよいよ宇宙さすらいの旅に出かけることになったのです。植物の豊富なほかの星を見つけるためにね」
ジャンガラ星人の気のどくな境遇には、ふかく同情された。二少年もできるだけのちえをかすことを申し出た。
その夜は、カモシカ号不時着以来、はじめての、にぎやかな宴会《えんかい》がひらかれ、星人たちと二少年とは、陽気にさわいで楽しんだ。
大団円《だいだんえん》
「いよいよジャンガラ星は自力《じりき》で宇宙をとぶんだそうだが、いったいどこへ行くつもりだろうか」
その夜ふけ、寝床《ねどこ》にはいった川上少年は、となりに横になっている山ノ井に話しかけた。
「さあ、どこへ行くのかわからないらしい。ほら、カロチ教授がいったろう。宇宙さすらいの旅に出るんだというから、あてはないんだよ」
「あてがないとは心細いねえ」と、川上もいつになく元気がない。
「いつになったら、地球へもどることができるのだろう」
「さあ、それもわからない。ジャンガラ星としては、わが太陽系に迷いこんで来てのことだから、わが太陽系なんかにみれんはないわけだ。だからわが太陽系にさよならをして、ずっと遠方のほかの太陽系へ行ってしまうかもしれないぬ」
「それじゃますます地球へもどれなくなるわけだねえ。千ちゃん、なんとかして早く一度だけ地球へ帰ろうじゃないか」
「うん。だがカモシカ号は、あのとおりこわれてしまって役に立たない。つまりぼくたちはこのジャンガラ星から抜けだすことができないわけさ」
「いやだねえ。何とか、くふうがないものかしらん。……あっ、そうだ。いいことがある。ねえ千ちゃん。カロチ教授を説いて、ジャンガラ星を地球へ着陸させてもらおうや」
「地球へ、この星を。でも、教授はしょうちしないだろう」
「うまく話せばわかると思う。つまりわが地球の上には、
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