とびだした砲弾の化物のような巨体!
「ああ、怪塔ロケットが、あんなところからとびだした」
「うむ、怪塔ロケットだ。逃すな。それ、全速力で追撃!」
塩田大尉は全機に一大命令を発しました。
ああら不思議、怪塔ロケットは、傘のようにかたまっていたたくさんの爆弾の炸《さ》けとぶ中をすりぬけて、天空へまいあがったのです。みれば、怪塔ロケットには、どこにもこわれたところがありません。それもそのはず、怪塔ロケットは、前もって磁力砲をいっぱいにかけてとびだしたので、鉄でできている爆弾の破片なんかみんなふきとばされてしまったのです。
2
怪塔ロケットは爆弾の破片をふきとばし、ものすごい姿を夕焼雲のうえにあらわしました。お尻のところからは、しゅうしゅうとガスをはなっていますが、それが夕日に映《は》えて、あるときは白く、あるときは赤く、またあるときは黄いろになり、怪塔ロケットを一そうぶきみなものにしてみせました。
塩田大尉は、偵察機隊をひきいて雲間をぬいつくぐりつ、怪塔ロケットのあとをおいかけました。
小浜兵曹長は、大尉のかたわらにすりよって戦《たたかい》をはじめるのに都合のよいとき
前へ
次へ
全352ページ中94ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング