ょうか。
しばらくして塩田大尉は、
「おい、小浜兵曹長、そののち怪塔からの無電は、なにかはっきりしたことをいって来ないか」
すると伝声管のなかから小浜のこえで、
「軍艦淡路を出てからこっち、あの怪電波はすこしもはいりません。ただいまも、一生懸命にさがしているところであります」
と言って来ました。
「そうか、無電を打ってこないとは心配だ。空中へのぼれば、無電は一層大きくきこえるわけだから、むこうで無電を出せば、きこえない筈はないのだ」
と、そう言っているうちに、とつぜん小浜兵曹長が、おどろいたようなこえをあげ、
「あっ塩田大尉、はいりました、はいりました。たしかに例の怪電波です。たいへん大きくきこえます。こんどは符号もよみとれそうです」
「それはすてきだ。しっかり無電をうけろ」
さて怪塔からの無電は、どんな意味のことを放送しているのでしょうか。塩田大尉は胸をおどらせて、小浜兵曹長の報告を待っていました。
2
機上に、ふたたびきこえはじめた怪電波をじっときき入るのは、小浜兵曹長でありました。
ト、ト、ト、ツート。
ト、ト、ト、ツート。
「ふむ、分るぞ分るぞ」
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