太刀風との両方から方向を測って、その地点は勿来関だとちゃんといいあてることができるのですから、じつにすぐれた機械だといわなければなりません。わが日本には、世界にじまんをしていいほどのりっぱな方向探知器があるのは、気づよいことです。
塩田大尉の顔は、さすがによろこびの色にあふれて、小浜兵曹長の手をかたくにぎり、
「方向探知器の方が、大利根博士よりもえらい手柄をたててしまったぞ」
「はあ、そうでありますか」
「なぜといって、大利根博士は怪塔ロケットがどこへ行ったかしらべるのは、なかなかだといっておられた」
「はあ、では大利根博士に、怪塔の行方がわかったと知らせますか」
「そうだね」
といって、大尉はしばらく考えていましたが、
「まあ知らせないでおこう。すこし思うところもあるから」
と、意味ありげなことをいいました。
それはそれとして、あのよわよわしい怪電波は、果して怪塔から出ているのでありましょうか。それならば、誰があの信号を出しているのでしょうか。
怪塔にとじこめられていた帆村探偵と一彦少年とは、いまどうしているのでしょうか。
それはともかく、塩田大尉は、小浜兵曹長のもってき
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