りました。
「あっはっはっ、なにをいっているか。お前たちは、もうこの塔から出られないのだ。あきらめるがよい」
2
「なんといおうと、この塔からりっぱに出ていってみせるぞ」
帆村探偵は、鉄の檻のなかから、怪塔王をじっと睨《にら》みつけました。
「ほう、それは勇ましいことだ。じゃあ、まあよく考えてみるがいいさ。これからお前たちを、考えるのにはもってこいという場所へおくってやろう」
考えるのにはもってこいの場所?
それは一体どんなところなのでしょうか。
怪塔王は、にやりと笑うと、また寝台のところへ歩いていって、後向きになりました。
「あっ、わかった。あそこに秘密のボタンがあるのだ」
と一彦が叫びました。
「秘密のボタン――そうかもしれない」
と、帆村は檻につかまって、怪塔王の背中をじろじろみつめています。
秘密のボタンをおしたので、この檻が天井から下りて来たのでしょう。発射されたピストルの弾丸が空中でとまるのも、その秘密ボタンをおしたためでしょうか。さて今度、怪塔王はどんなボタンをおすつもりなのでしょうか。
「あっはっはっ」
と、寝台にとりついている怪塔王が、二
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