戦《たたかい》は空中で始っています。それなのに、われわれには、飛行機もなければロケットもない。これでは、空中にとびあがろうとおもっても、できないのが残念ですね」
「うむ、さっきから、それを残念がっているところだ。ああ、われに一台の飛行機があれば、怪塔王をどこまでも追撃するんだがなあ」
 と、小浜兵曹長も、両腕をさすってくやしそうです。飛行機のない航空兵、そして空中には壮烈な空中戦がひきつづきおこなわれている。まったく、兵曹長の心のうちは気の毒でありました。
 そのときでありました。硝煙わきたつ島上に、にわかに猛烈なプロペラの音が近づいてまいりました。
「おい帆村君、敵か味方かわからんが、低空飛行でもって、こっちへやって来るやつがいる。はやくそのあたりへ体をかくすがいいぞ」
「あ、わかりました」
 といっているうちに、硝煙をやぶって、二人の頭上に近づいた数台の飛行機がありました。
「あっ、味方の攻撃機だ。あぶない、体をかくせ」
 いちはやく兵曹長は、飛行機の種類を見きわめて声をあげました。機翼にあざやかにえがかれている日の丸! たしかにそれは味方の攻撃機です。しかし、この低空飛行はなぜで
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