ってしかたがないところでありましたので、怪塔王にいわれるままに、ロケットを分捕《ぶんど》ってしまう決心をかため、階段をかけおりました。
「どちらへお出かけになりますか」
と、黒人が心配そうにたずねました。そのとき怪塔ロケットは、悪いところが直って、まもなく出発できるようになっていました。ですから、黒人は、兵曹長からの約束で、いよいよ体を自由にしてもらえるときがちかづいたとよろこんでいたところでありました。
「いま、着陸するロケットがあるから、あれを分捕ってくる。ちょっと待っておれ」
「は、そうですか」
といったものの、黒人は、小浜兵曹長があまりに大きなことをいいだしたのにびっくりして、あとはいいだす言葉も見つかりません。
「じゃ、ちょっと待っているんだぞ」
といい捨てて、小浜兵曹長は外にとびだしました。
そのとき、兵曹長の耳をきこえなくしてしまいそうに、ロケットの尾からふきだすガスのはげしい音! それとともに、あたりはもうもうとした白い煙のようなもので、すっかりおおわれてしまいました。兵曹長は、ロケットを見失ったかと思いましたが、そのとき、ひゅうっと、一陣の風もろとも、灰色のロ
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