ろしていた奴じゃな。うん、子供もついて来ている。それでこの俺さまをとっちめたつもりでいるのだろうが、それはたいへんな間違《まちがい》だぞ。あっはっはっ」
と、怪塔王の声が、にくにくしげに、室内にひびきわたりました。
4
「おれの寝ているところへ、踏みこんでくるとは、さても太い奴じゃ。あっはっはっ」
と、怪塔王は寝床の上にあぐらをかいて、大笑いをしました。
「なにをいう。貴様の悪だくみはもうすっかり種があがっているぞ。おとなしくしろ」
と、帆村探偵がピストルをかざすと、
「なんだ、そんなピストルでおれを脅《おびやか》そうというのか。貴様はよっぽど大馬鹿者だぞ。おれは、やろうと思えば、帝国の最新鋭艦でも、なんの苦もなく坐礁させるという恐しい力をもっているのだ。そんなピストルぐらい何がこわいものか」
帆村探偵も、一彦も、これを聞いて、胸をつかれたようにはっとしました。「淡路」の坐礁事件につきどうしてそんな怪事がおこったかと苦心してしらべていた矢さきに、怪塔王が自分でもって、「あれはわしがやったのだ」と白状したのですから、そのおどろきといったらいいようもありません。
「な
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