す。
 この司令室は、怪塔の三階の一隅《いちぐう》にありました。
 怪塔王は、司令室にただひとり、じっと地図をみています。
 その地図は、どこの地図だったでしょうか。ほかでもありません。日本を中心とする太平洋の大地図でありました。
 怪塔王は、たいへんうれしそうな顔をしています。
 地図のうえで、日本のまわりを指さきでぐるぐるなでながら、
「うふん。いよいよこの辺が、こっちのものになるというわけだ。するとあとはもうおそろしくない国々ばかりだ」
 怪塔王は、肩をゆすって、うふうふうふと気味のわるい笑い方をいたしました。
 この司令室は、まるで電話の交換室のようになっていまして、この怪塔ロケット内のすべての機械の末端がここに集っていますから、この室にすわってさえいれば怪塔を自由にあやつることができるのでありました。いや、この怪塔内ばかりではなく、他のロケットも同様にあやつることができます。つまりいま怪塔王は、その司令配電盤を前にして、地図を見ているのでありました。なかなかうまく出来た司令配電盤でありました。そしてまた、これが怪塔王の心臓のように大事な機械でありました。
 ずずずずず。
 と
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